「外国人労働者が日本へ移民?」特定技能の受入実態

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「外国人労働者が日本へ移民?」特定技能の受入実態

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外国人労働者の移民制度ともいわれる特定技能外国人制度。政府は、34万5千人の特定技能外国人の受入れをする方針を掲げましたが、令和3年9月末時点で、特定技能1号の在留外国人数は3万8337人と伸び悩んでいます。受け入れの伸び悩みは、コロナ以外にどのような影響があるのか。特定技能制度に詳しい行政書士廣瀬幹先生にお話を伺いました。

「外国人労働者が日本へ移民?」特定技能の受入れの実態…行政書士が解説!廣瀬幹×鈴木篤【行政書士カレッジ】

解説者 行政書士 廣瀬幹 先生

キャップストーン国際行政書士事務所 代表
筑波大学社会学類(法学専攻)卒業
上智大学法科大学院(法務博士)修了
元国家公務員(国家公務員Ⅰ種[法律職])
外国人技能実習養成講習講師
元バックパッカー。20代の頃アジアを中心に旅する。

特定技能外国人が増えない3つの理由

 理由① 雇用会社の負担が大きい

需要が多いのは、製造業や建設業だと思います。この分野が思った以上に伸びていません。

例えば、特定技能の所属機関(雇用会社)は、協議会に入会する必要がありますが、製造業の場合、純粋な製造業でないと基本的に入会できません。製造業であることの証明事項が多く、製品や設備の写真を事細かに撮影する必要があるなどの負担が大きいです。

 建設分野では、JAC(建設技能人材機構)という団体があり、所属機関(雇用会社)はは加入しなくてはいけません。JAC(建設技能人材機構)に加入するには、毎月最低でも12500円の負担金があります。さらに、建設キャリイアップシステムに外国人本人と外国人雇用会社双方が加入しなくてはいけません。待遇面でも規制があり、建設分野はハードルが少し高くなっているため、伸び悩みに繋がっていると考えられます。

 一方、特定技能外国人の人数が伸びている分野もあります。それが飲食料品の製造業です。  業務区分が広く、受け入れ側の使い勝手が良く、規制も他に比べあまりないため、人数が延びています。

 理由② 送り出し側(外国側)の問題

送り出し国で一番多いのはベトナムです。送り出し側は、特定技能外国人として入国させる場合、試験を受けるのが原則となりますが、試験があまり行われていないのが現状です。

また、受け入れる側としても技能実習生でいいじゃないかという意識があります。

外国人では、韓国、台湾、東欧から入国されますが、こういう国々の人材は取り合いになっており、以前ほど、外国人が集まらない実態があります。

 理由③ 一定レベルの人が対象

特定技能制度は、一人前の人材を入れることになります。そのため、まずは、技能実習で一人前になってから、特定技能1号で一人前として働いてもらう。最終的には、特定技能2号でベテランの職員に上がってもらうという制度設計になっています。

なので、外国人を技能実習でとりあえず雇い、仕事ができて性格等に問題がない人を特定技能で残すというパターンが一番多いですね。

このため、技能実習よりは人数が少なくなってしまうという問題がでてくるのかなと思っています。

技能実習からのパターンの方が、人をきちんと見極められるし会社としても猶予期間として受け入れていたというところでスムーズに行くのかなと考えられます。

 転職が可能、労働者の定着性の問題

技能実習の場合、部分的に転職できる場合もありますが、原則は同じ会社で実習をするのが   基本です。

これに対し、特定技能は在留資格の変更許可申請をする必要がありますが、基本的に転職は自由となります。特定技能外国人を受入る外国人雇用会社としては、転職されると困るというのは事情があります。

技能実習では、相手国の送出機関に管理費を毎月支払います。

一方、特定技能の場合、管理費は不要になりますので、外国の送出機関としては、特定技能制度は、うま味がないわけです。

このため、回数・頻度も不足がちな試験を受けさせる必要がある特定技能が敬遠され、技能実習をどんどん送る現状になっていると思われます。

 特定技能2号分野拡大!?移民政策?

政府は、骨太の方針として、特定技能2号の拡大を毎年謳っています。

外国人雇用会社、特に建設分野では既に受け入れ基準を示していますが、外国人にとって特定技能の技能試験に受かるためには、かなりハードルが高くなっています。

ただ、規制緩和すると、現場から移民政策なんじゃないかと不安・反対が来ると思われるので、政府でも悩んでいるところだと思います。

 まとめ

技能実習生を経由した人は、基本的に特定技能でしか残ることができませんので、長い目で見ると増加していくと考えられます。

特定技能制度は、地域等の受け入れに偏りがなくというところを謳っていますので、受入れをお考えの会社は、早目に受入体制を整えて申請する必要があると思います。

行政書士カレッジ 編集部

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