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行政書士事務所のサービス向上の秘訣:飲食店経営のQSCに学ぶ

行政書士事務所のサービス向上の秘訣:飲食店経営のQSCに学ぶ

2024.07.04

行政書士はサービス業と言われますが、どのようにサービスを向上させればよいでしょうか。飲食店経営のQSCを参考に考えてみたいと思います。

産業・職業分類について

まず、日本では日本標準産業分類にて産業を分類しています。行政書士事務所は、専門サービス業に分類されています。

以下が行政書士事務所の日本標準産業分類です。

日本標準産業分類

  • 統計分類:日本標準産業分類(令和5年[2023年]7月改定)
  • 大分類:L 学術研究、専門・技術サービス業
  • 中分類:72 専門サービス業(他に分類されないもの)
  • 小分類:723 行政書士事務所
  • 細分類:7231 行政書士事務所
  • 細分類の説明:官公署に提出する書類その他権利義務または事実証明に関する書類などの作成を行う事業所を指す。

他の士業についてはどのように分類されているかというと、小分類では以下のものが列挙されています。

専門サービス業(他に分類されないもの)

  • 720 管理、補助的経済活動を行う事業所(72専門サービス業)(1)
  • 721 法律事務所、特許事務所(2)
  • 722 公証人役場、司法書士事務所、土地家屋調査士事務所(2)
  • 723 行政書士事務所(1)
  • 724 公認会計士事務所、税理士事務所(2)
  • 725 社会保険労務士事務所(1)
  • 726 デザイン業(1)
  • 727 著述・芸術家業(2)
  • 728 経営コンサルタント業、純粋持株会社(2)
  • 729 その他の専門サービス業(5)

統計分類・用語の検索

続いて、職業の分類を見てみましょう。行政書士は、日本標準職業分類上では、その他の専門的職業従事者と分類されています。

日本標準職業分類

  • 統計分類:日本標準職業分類(平成21年[2009年]12月統計基準設定)
  • 大分類:B 専門的・技術的職業従事者
  • 中分類:24 その他の専門的職業従事者
  • 小分類:249 他に分類されない専門的職業従事者

統計分類・用語の検索

サービスとは

専門的なサービスを提供するのが行政書士であることが確認できたと思います。それでは、サービスとはそもそも何でしょうか?デジタル大辞泉(小学館)によると以下のように説明されています。

  • 人のために力を尽くすこと。奉仕。「休日は家族に—する」
  • 商売で客をもてなすこと。また、顧客のためになされる種々の奉仕。「—のよい店」「アフター—」
  • 商売で値引きしたり、おまけをつけたりすること。「買ってくだされば—しますよ」
  • 運輸・通信・商業など、物質的財貨を生産する過程以外で機能する労働。用役。役務。
  • サーブ

出典:デジタル大辞泉(小学館)

行政書士の場合、依頼者がいるので「人のために力を尽くす」ということが当てはまると思います。言い換えれば、人(会社)のために専門的知識を使い、役に立つということになります。

行政書士事務所にQSCを活用

いよいよ本題です。飲食店経営のQSCとは何でしょうか?

QSCとは、Quality(クオリティ)・Service(サービス)・Cleanliness(クレンリネス)の頭文字をとった言葉です。マクドナルドの創設者、レイ・クロック氏が提唱したと言われています。飲食店経営において特に重要視される3つの要素を指します。具体的には以下の3つです。

Quality(クオリティ:品質)

Quality(クオリティ)とは、サービスの質のことです。提供する料理や飲み物の品質を指します。食材の新鮮さ、調理の技術、味付けなど、顧客が満足する高い品質を維持することが求められます。外装や外観、雰囲気が素敵な店であっても、料理がおいしくなければ、客足は次第に遠のいてしまうでしょう。クオリティに対して価格が高いと感じられてしまうと、客足はさらに遠のいてしまいます。高すぎず低すぎず、クオリティに合った料金設定をすることが肝要です。

Service(サービス)

顧客への接客の質を指します。迅速で丁寧な対応、言葉遣い、顧客の要望に応える姿勢、心地よい雰囲気を作り出すことが重要です。いくら料理がおいしくても、スタッフの接客態度が悪ければ、お客様はよい気分になりませんし、SNSなどに悪い口コミを投稿されてしまうおそれもあります。

Cleanliness(クレンリネス:清潔さ)

Cleanliness(クレンリネス)とは、店やスタッフの清潔さのことです。食器や調理器具の清掃、トイレや客席の清潔さ、衛生基準を守ることが大切です。テーブルがベタベタしていたり、トイレが汚れていたりすると、店全体が不衛生に見えてしまいますし、スタッフの爪が極端に伸びていたり、制服やエプロンにシミが付いていたりすると、不快に感じるお客様もいるはずです。

これらの要素を高水準で維持することで、顧客満足度が向上し、リピーターの獲得や口コミによる新規顧客の増加が期待できます。QSCは飲食店の成功に欠かせない基本的な指標となります。

行政書士事務所に置き換えてみます。

  • Quality(業務の質、スピード、ノウハウなど)
  • Service(態度、メールやSNSでの対応、電話の応対時間とスピード、ヒアリング力、提案力、納品書類をファイルに綴じるなど)
  • Cleanliness(行政書士の身だしなみ、事務所の清潔感、書類・ファイルの整理)

QSCが重要な理由は、新人やお金がなくてもすぐに実施できることが多いからです。パソコン、ソフト、複合機の導入、事務所移転や内装のリフォームなどはお金がかかり、すぐには実施できません。また、ノウハウや業務の質は実務をこなす中で培われるため、すぐに実施できるものではありません。

しかし、業務スピードを上げるためにヒアリングシートや案内書のテンプレートを準備する、業務フローを作成する、メールやSNSで対応できるようにする、納品書類のファイルを準備する、身だしなみを整える(ひげを剃る、定期的に散髪し髪型を整える、よれよれのスーツを着ない、ワイシャツにしわがないようにする、事務所の清掃をする)など、これらはすぐに実施できるものです。

一度にすべてを行うことは難しいので、まずは一つから始めてみてはいかがでしょうか?すでにできていると思っていることでも、もう一度見直してみるのも良いかもしれません。例えば、髭剃りを行う際に髭剃器やシェービング剤を変えて肌荒れ対策をする、事務所の不要なものを捨てて物を探す時間を減らすことで作業効率を上げる、整理整頓された事務所はお客様にとっても気持ちがいいものです。

以上のように、QSCの向上を通じて行政書士事務所の運営に活かしてみてはいかがでしょうか?私も実施していますので、ぜひお試しください。

鈴木 篤

特定行政書士。合同会社法テック代表社員の鈴木です。実務のスペシャリストの行政書士を育てることが日本社会の発展に貢献するとの思いから行政書士カレッジを運営しています。