行政書士が使用する印鑑を「職印(しょくいん)」といいます。
これから行政書士事務所を開業する方は、職印の製作で悩むと思います。印影、大きさ、書体、材質はどういったものを選べばいいのでしょうか?
この記事では、行政書士の職印について解説します。
行政書士の職印とは
行政書士の職印とは、行政書士会に登録された印鑑をいいます。
根拠条文は次の通りです。
行政書士は、日本行政書士会連合会の会則の定めるところにより、業務上使用する職印を定めなければならない。
行政書士が、業務上使用する職印は、別記様式第一に準じて調製しなければならない。
日本行政書士会連合会会則 別記様式第一
正方形の角印で、文字は縦書きとなります。多くの行政書士は縦文字3行で製作しています。例えば以下のようになります。
- 1行目 行政書士
- 2行目 鈴木●
- 3行目 之印
氏、名の長さによっては、3行目に名前がきてもいいと思います。
規定上は、「之印」をつけることになっていますが、「印」だけや、「之印」はつけなくても登録できることがございます。詳しくは、各都道府県の行政書士会の登録窓口へご確認ください。
行政書士職印のサイズ
大きさは、登録予定の各都道府県の行政書士会により違いがございます。
東京都行政書士会の場合、一辺が15mm以上~24mm以下の正方形・角印となります。
埼玉県行政書士会の場合、一辺が18mmの正方形・角印となります。
行政書士職印の書体
書体は以下のようなものがございます。
- 篆書体(てんしょたい)
- 古印体(こいんたい)
- 印相体(いんそうたい)
- 隷書体(れいしょたい)
- 行書体(ぎょうしょたい)
- 楷書体(かいしょたい)
行政書士の職印は、書類や領収証などに押印する決まりになっています。依頼者さんが書類を受け取ったときに、行政書士の職印をみて「プロの書類は重みがあるな」と思ってもらえるような書体を選ぶといいでしょう。
例えば、気軽に相談できることを売りにしたいのであれば、可読性が高い「隷書体(れいしょたい)」がいいかもしれません。
一方、法律家らしさを残したいのであれば、可読性が低い「篆書体(てんしょたい)」や「印相体(いんそうたい)」がいいと思います。
ただし、行政書士の職印は複数登録できるので、迷ったらどちらも購入し、書類や依頼者ごとに職印を分けてもいいかもしれません。
印影サンプルや詳細は、印鑑の匠ドットコムさんが参考になります。
行政書士職印の材質
材質については特に決まりはありません。選ぶ基準としては、変形しにくく、丈夫なものを選ぶといいと思います。
職印は、行政書士である限り、ずっと使用するものです。長年使用すると愛着がわいてきます。
- 柘(つげ)
- 薩摩本柘(さつまほんつげ)
- 彩樺(さいか)
- 黒彩樺(くろさいか)
- 黒水牛芯持(くろすいぎゅうしんもち)
私のおススメは「柘」(別名 あかね)です。理由は、材質が固く、値段が安いからです。
おススメしない材質は、数万円もする高級材質です。その金額を出すなら他の物や実務学習などに投資した方が賢いでしょう。
印鑑の材質の詳細は、印鑑の匠ドットコムさんが参考になります。
職印の登録方法
職印は、各都道府県の行政書士会で登録手続をします。新規入会の場合は、登録申請後、登録完了時に職印の届出を行います。
登録申請完了の連絡をもらうと、行政書士会の入会説明の際に職印を持ってくるように言われます。その時に職印届出書に押印して手続をします。
そのため、行政書士登録申請をしたら、すぐに行政書士職印を製作するようにしましょう。
行政書士試験の結果発表後の2月から4月は、新社会人が印鑑を作る時期でもあり、印鑑屋さんの繁忙期でもあります。納期1か月待ちということもあるので、早めに職印の製作依頼をしましょう。