人気のある行政書士業務に「在留資格」関係の手続があります。「在留資格」とは、外国の方が日本に上陸し、活動をするためのライセンスのことです。
この「在留資格」関係の手続を行うには、行政書士登録後に所定のプロセスを踏む必要があります。
届出済証明書(ピンクカード)取得の流れ
① 受講する「行政書士申請取次事務研修会」を検討する
例年の会場は、札幌・仙台・東京・名古屋・大阪・神戸・福岡・那覇の全国8都市です。また、東京と大阪で新規の取得者向けに年2回、その他の都市では年1回程度の開催となっています。そのため、行政書士登録をしてすぐ「在留資格」関係の業務(取次業務:外国の方の代わりに入国管理局に出向いて申請をしてあげる仕事のこと)ができるとは限らないです。中には、直近で開催される遠方の都市に出向いて受講する方もいるそうです。
なお、令和2年度以降は、新型コロナウイルス感染拡大防止のため、研修会はVOD(ビデオ・オン・デマンド)方式にて開催されています。
詳細は、日本行政書士会連合会のホームページに案内があります。
② 申込書に必要事項を記載してFAX
行政書士に登録すると、日本行政書士会連合会(各都道府県の行政書士会が集まった組織)から、「日本行政」という月刊誌(会報)が郵送されてきます(日本行政書士会連合会HPから閲覧することも可能)。そこに、定期的に「行政書士申請取次事務研修会の御案内」が掲載されています。このページをコピーして、必要事項を記入した上で、主宰者宛てにFAX送信します。
③ 受講料の振込
通常は2営業日以内に、受付係より受講料振込方法を貼付したFAXが返信されてきますので、受講料を振り込みます。受講料は30,000円です。
④ 受講票の受取・受講までの準備
受講料の入金確認後、受付係から受講票がFAX送信されてきますので、これを印刷して、研修会の受講当日に持っていきます。
⑤ 受講・効果測定・修了証の受領
通常ですと、当日は午前10時30分~午後5時と長丁場です。「在留資格」に関する手続を行う上で重要な入管法(出入国管理及び難民認定法)の条文をポイントごとに学ぶことはもちろん、行政書士としての心得も改めてきちんと確認します。そして、出入国在留管理局の方を講師としてお招きして、実務上の留意点等もじっくり学びます。
その後、当日中に「効果測定」があり、ここで合格ラインに到達すると、「事務研修会修了証書」(有効期間1年)が交付されます。
効果測定は、4択のマークシート方式のペーパー試験で、研修会の最後に実施されます。入管法の基本知識が10問出題されます。事前に、日本行政書士会連合会中央研修所研修サイト(行政書士登録者専用サイト)にある、「申請取次研修会効果測定用設問集の解説」の講座を受講すれば、効果測定試験対策は十分です。
⑥ 所属単位会での手続
所属している都道府県行政書士会(単位会)に、「申請取次申出書」や「誓約書」等(行政書士申請取次事務研修会後に書式配布)を提出します。
およそ2か月程度で「ピンクカード(届出済証明書)」の交付準備がなされるのですが、それまでに、単位会が主催している「交付時研修」を受講しなければならない単位会もあります。
およそ2時間程度で、申請書の書き方等、より実務に即した研修、そして、国の政策動向や行政書士が違法行為をした際の処分事例等を学びます。
なお、東京都行政書士会は、交付時研修がありません。一方、埼玉県行政書士会は交付時研修の受講義務がございます。ピンクカードの発行方法につきましては、各所属単位会に確認する必要があります。
⑦ 「ピンクカード(届出済証明書)」の受領
1つないしは2つの研修会を修了し、ようやく「ピンクカード(届出済証明書)」を取得することができます。このカードを入管で提示することによって、はじめて「外国の方本人に代わって申請すること」(=申請取次)ができるようになります。
このピンクカードの有効期間は3年間です。引き続き申請取次ができるようにするためには、ピンクカードの有効期間が過ぎる前に更新する必要があります(更新の場合は、行政書士申請取次「実務」研修会を受講することになります)。
ちなみに、「ピンクカード」というのは俗称ですが、地域によっては「イエローカード」もあります(以前、仙台の先生に「ピンクカード」と言っても伝わらなかったことがありました)。