行政書士事務所の必要経費と経費削減方法
行政書士が個人登録をして、行政書士事務所を開業する場合の必要経費と経費削減方法について考えてみます。
行政書士事務所の経費
1.事務所
行政書士に登録するには事務所を設置する必要があります。事務所を設置するためには、自宅を事務所にするか、または、別に事務所を借りる必要があります。自宅を所有しているのであれば、毎月の賃料は発生しません。しかし、賃貸で事務所を借りる場合は、賃料、管理費、契約更新料、火災保険料などがかかります。
注意点として、以下の行政書士登録の場合は、個人事務所の登録ができません。
- 使用人行政書士(行政書士事務所に雇われる行政書士)
- 行政書士法人の社員行政書士(行政書士法人の役員)
なお、社員行政書士は、行政書士法人が事務所を登録します。そのため、社員行政書士が個人で事務所を登録することはできません。
スタッフの給料
スタッフを雇用している場合は、スタッフへ給料を支払わなければなりません。
2022年10月から個人事業主形態の行政書士事務所で、常時5人以上スタッフを雇用している場合、社会保険(健康保険と厚生年金保険)の加入が義務化されました。社会保険の半分は行政書士事務所が負担するため、給料+社会保険料がかかります。
行政書士自身も生活をしていくわけですから、収入を確保しなければいけません。生活費がいくらかによって、必要な収入がかわります。
家族(配偶者など)に仕事を手伝ってもうら場合、基本的には給料は発生しないため、事務所開業当初は、家族に手伝ってもらうのもありです。注意点としては、許認可申請、相続関係書類、契約書など、行政書士が行う書類作成を手伝う場合は、補助者登録をする必要があります。補助者登録は、行政書士が所属する都道府県行政書士会にて手続きを行います。行政書士業務でない仕事(経理、整理整頓、郵便手続、銀行回りなど)であれば、補助者登録は必要ありません。
オフィス用具とパソコン
仕事をするために、パソコン、プリンター、電話機、書類保管棚などの備品が必要です。また、パソコン内では、文書作成アプリ、経費管理アプリ、顧客情報管理アプリなども必要です。
スマートフォンも、プライベートとは別に、仕事用の物を用意しておくと便利です。
広告宣伝や営業
お客さんに知ってもらうために、広告や宣伝が必要です。ウェブサイトを作る費用や、DMを発送する経費もかかります。
実際に人に会って営業することもします。人に会って営業するには、交通費、名刺代、スーツ代、イベント参加費、飲食代などもかかります。
研修や学び
行政書士は、法律や申請方法などが変わることがあるため、学び続ける必要があります。行政書士会の研修は、無料のものも多くありますが、それ以上の情報を入手するためには、有料の実務講座や勉強会に参加したりします。
実務書も、それなりの費用がかかります。新人の時は、まだ専門分野が確率していないため、いろいろな専門書を購入してしまうので、必要以上に費用がかかってしまいます。
保険
自分を守るために、行政書士賠償責任保険に加入する場合、その保険料もかかります。補償内容によって保険料は変わりますが、年額5,000円~24,200円(2023年度版)のプランがあります。補助者等の従業員数によって若干保険料が増えます。
また、自動車登録を行う場合は、出張封印取付作業代行業務補償をオプションで付けます。お客様の車を傷つけてしまった場合の補償となります。こちらは、年間で取り扱う車の台数によって変わりますが、年額6,000円~18,000円(2023年度版)となります。
通信費
電話代やインターネット回線代も必要な経費です。電話代は、固定電話については、インターネットの光電話と一緒になっているサービスがあります。FAX番号を取得するかで、選択肢が変わりますので、FAXを導入するかは決めておいたほうがいいでしょう。インターネットFAX等のサービスも月額1000円程度からあります。
スマートフォンなどの携帯電話代は、24時間通話無料のプランがおすすめです。スマホ端末代も含めて経費計上できますので、オーバースペックにならない程度のスマホをエレンでいいと思います。
経費を削減する方法
事務所スペースの工夫
小さいオフィスを選んだり、他の事務所とスペースを共有することで、賃料を節約できます。また、リモートワークを試して、オフィススペースの必要性を減らすこともできます。
アウトソーシング
事務仕事やコンピューターのサポートなど、外部の専門家やフリーランスにお願いし、スタッフの給料を節約できます。
事務スタッフを雇うことは、固定費用が発生します。自分で行うと時間が無くなり、こなせる業務量が減ってしまいます。
例えば、電話対応には、秘書代行を利用することで、電話番のスタッフを置かなくてもよくなります。
レンタルオフィスによっては、荷物の受取や来所時の受付対応などのサービスもあるため、レンタルオフィス選びの際は検討してみましょう。
年賀状を送る際も、宛名を送れば、印刷から発送まで対応してくれるサービスもあります。
そして、人を雇う際は、繁忙期や必要な時だけ雇うことも考えましょう。入札参加資格登録など、決まった時期に忙しくなる業務があります。時期がわかる場合は、その時期に手伝ってくれる人とつながっておくといいでしょう。
デジタル化とクラウド利用
文書を電子化し、クラウドに保存することで、コストを節約できます。これは、どの事業者も行っていますが、これがなかなか難しいのです。行政書士事務所は、大量の書類や資料、実務書籍などでスペースが埋まります。これらを日々スキャナー等でPDF化して保存する。紙で保存するものの保管期限を定め、期限後に破棄する。などの対策をしていきます。
電子化は、実際にやると結構大変です。一つ一つの作業は簡単ですが、つい後回しにして、いつの間にか書類の山となってしまいます。
データの保存先は、OneDriveやDropBoxなどのクラウドストレージサービスを利用することで、データストレージのスペース場所を抑えたり、パソコンのサイズを小さくすることにも繋がります。
また、ソフトウェアはダウンロード版を基本とすることで、ソフトの保管場所も節約できます。
広告とマーケティングの効果的な使い方
広告の効果を調べて、効果の悪い広告をやめて、効果のいい方法に経費をかけましょう。
オンライン広告やソーシャルメディアの広告を利用するのも戦略としてありですが、広告の効果を検証することも忘れてはいけません。
いくら広告を投資し、問い合わせ件数が何件きて、その内何件が依頼に繋がったのか。他の広告で行った場合と比較し、どの広告が効果があるのか。
これらの検証が、事務所のノウハウになりますので、試す価値ありです。
経費の無駄を減らす
無駄な買い物を減らし、経費を節約することが大切です。経費を使う前に、本当に必要なものかどうか考えてみましょう。
しかし、最初は試してみないとわからないことが多いです。例えば、コピー用紙はどれがいいのか。複合機はどの機種がいいのか。パソコンは自分の業務に合っているのか。
これらは、まずは買ってみて、使った後、検証してみましょう。どの部分が不満で、どの部分が良いのか。そして、その不満を解消する商品は無いのか。
経費を節約することは、行政書士事務所を成功させるために大切なことです。経費の使い方を見直し、経費を無駄にしないように心がけましょう。そして、お客さんに良いサービスを提供して、事務所を成功させましょう。
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