独立した行政書士が廃業する4つのパターンとは?

行政書士カレッジ 行政書士開業ガイド 行政書士開業ガイド

独立した行政書士が廃業する4つのパターンとは?

行政書士試験に見事に合格した後、すぐに行政書士として独立開業する場合もあれば、どこかの行政書士事務所の使用人行政書士や補助者、パート、アルバイト(事務員)などとして勤務した後に独立開業する場合が考えられます。

そんな中、いざ独立して個人の行政書士事務所を開業したものの、ほどなくして事業の継続が困難になり、最終的には廃業に追い込まれるなどし、結局は失敗してしまうパターンもあると思います。

今回はその「独立した行政書士が失敗する4つのパターン」について書きます。

失敗パターン①:何の事業計画も立てずに「見切り発車」してしまう

まず、何の事業計画も立てずに「見切り発車」で独立開業すると、早かれ遅かれ失敗する可能性があります。行政書士試験に合格したうれしさのあまり、無計画で行動してしまいます。

特に、ある程度の売上目標や利益目標などの「数字の目標」を立てずに独立開業するのはリスクが大きいと思います。

普通、一般的な起業をする場合でもある程度の事業計画は立てるはずです。何となく勘で起業することなんて、正直リスク以外の何物でもありません。行政書士として独立開業することも、一般的な起業とあまり変わらないはずです。程度の差こそあれ、行政書士として廃業せずに継続して事務所運営ができているところでは、まず間違いなく売上目標などをきちんと立てた上で何らかの事業計画を練っているはずです。行政書士も経営者の一人ですので、独立開業する際にはきちんと事業計画を立ててください。

失敗パターン②:専門分野を聞かれてもはっきりとは答えられない

行政書士として独立開業するからには、何らかの専門分野を持っておくべきです。

大手の行政書士法人のように多岐にわたって事業展開をしているようなところですと、数多くの業務を扱っていることが多いと思います。これは、所属行政書士がそれぞれ専門分野を担当しているからだと考えられます。

一方で、個人事務所の場合は扱うことのできる業務量には限界があり、何でも幅広く対応することは難しいのではないかと思います。

であれば、行政書士として独立開業する際には何かしらの専門分野を持っておくべきです。個人事務所ではいわゆる「スモールビジネス」が基本であり、大手の行政書士法人などに対して個人レベルで対抗できるのは、まさに確固たる専門分野を持った行政書士に他ならないと思います。お客様や同じ行政書士の同業者から専門分野について聞かれた場合は、ぜひとも即答できるくらいになっておきましょう。

失敗パターン③:実務の勉強ばかりしていてほとんど営業しない

行政書士として独立開業したばかりの時期は、「果たして自分は行政書士業務ができるのだろうか?」や「全く知らない業務の相談が来たらどうしよう」などといった不安・悩みが尽きないと思います。

こうした不安・悩みを解消するべく、行政書士の実務に関する書籍をたくさん読み込むだけではなく、各都道府県の行政書士会などが実施する研修会などを過度に受講する人もいます。ただ、実務の勉強をたくさんしてインプットばかり徹底したとしても、それを活かすための実践の「場」がないのであれば全く意味がありません。単に頭でっかちになるだけです。

インプットした知識をアウトプットの場で活かすためには、やはり実務の勉強と並行して「営業」を積極的にするべきです。自分の事務所ではどんな業務を扱っていて、それについてどんなサービスや付加価値などを提供できるのか、他の行政書士事務所にはない自分の事務所の「強み」は何なのか、などをきちんとアピール(営業)することで、行政書士としての自分を知ってもらい、そこから確実に仕事の依頼につなげていきたいところですね。

失敗パターン④:何となく上から目線な態度で謙虚さに欠ける

現役の行政書士の大半が、高校や大学などを卒業してすぐに行政書士になったわけではありません。行政書士になる前はどこかの会社に勤めていたり、NPO法人などの団体に所属し活動していたり、行政書士事務所や司法書士事務所などの士業事務所で補助者などをしていたりと、色々なバックグラウンドを持った行政書士が全国に数多くいます。中には、かなりの高学歴の行政書士がいたり、惚れ惚れするくらいの経歴の持ち主がいたりすることも決して少なくはないと思います。

ただ、行政書士になる前に一流企業で管理職を経験したことがあるような方の中には、何となく上から目線な態度で謙虚さに欠けるような印象を周りが持ってしまうこともあるかと思います(もちろん、そのような経験をしたことがあるような方でも、大変謙虚な姿勢で行政書士業務に携わっている方もたくさんいます)。

たとえどんなに大手で一流の企業に勤めていた素晴らしい経歴があったとしても、一旦行政書士になってしまえば、これまでの経歴は少なくとも行政書士業界ではほとんど意味がありません。一流企業に勤めていたプライドなどは全て捨てて、常に謙虚な姿勢で行政書士の仕事をしていくことが大事になってきます。

変なプライドの高さは、行政書士として仕事をしていく際に大変邪魔なものとなります。特に行政書士1年目は雑用でも何でもするくらいの謙虚かつ貪欲な姿勢で仕事をしていきましょう。

まとめ

このように、独立した行政書士が廃業する4つのパターンを書きました。兎にも角にも、行政書士として独立開業したからには、自分自身が全ての責任を負って仕事をします。自らの行動がそのまま業務にも大なり小なり影響をもたらすことになるのです。

長年行政書士として第一線で活躍している先生方は、当然ですが日々努力をしてここまで行政書士事務所の運営をしてきました。そしてそのような先生方は、今になっても努力を怠りません。そのような状況ですので、行政書士として独立開業したばかりの方であれば、第一線で活躍している諸先輩方よりも何倍も努力しないとなかなか生き残ることができないはずです。せっかく苦労して取得した行政書士の資格を活かすも殺すも自分次第です。行政書士としての独立開業そのものが廃業に終わるなんてことのないよう、十分気をつけてください。

菖蒲 悠太

合同会社法テック代表社員、行政書士の菖蒲悠太です。大学卒業後、大手進学塾のチーフ講師や個別指導塾の教務主任などを経験し、「法テックメソッド」という学習法を開発しました。現在は、行政書士として活動しながら、法テックメソッドを用いた教育事業を展開しています。地元大田区では、外国人小学生に日本語を教えるボランティアもしています。また、東京都行政書士会では、法教育推進特別委員として小学生に対する法教育活動を行っています。

慶應義塾大学法学部卒業、東京都行政書士会 法教育推進特別委員会委員、東京都行政書士会大田支部 副支部長、伊藤塾行政書士実務講座講師(法人設立業務論/遺言・相続業務論担当)

おすすめ講座