行政書士事務所名の決め方!事務所名に使ってはいけない用語とは

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行政書士事務所名の決め方!事務所名に使ってはいけない用語とは

行政書士が個人開業するには事務所名の登録が必要です。

しかし、いざ事務所名を決めようと思っても、どうやって決めるか悩みます。

そこで、今回は行政書士事務所名の決め方について紹介していこうと思います。

行政書士事務所名の規定

行政書士は、①個人開業、②使用人行政書士(雇われ行政書士)、③社員行政書士(行政書士法人の役員)の登録方法があります。

今回は①個人開業の場合の事務所の名称の決め方を説明します。なお、②使用人行政書士と③社員行政書士は、個人の事務所を持つことができません。

事務所の名称は行政書士の登録条件となっています(行政書士法第6条第1項)。

行政書士法第6条第1項(登録)
行政書士となる資格を有する者が、行政書士となるには、行政書士名簿に、住所、氏名、生年月日、事務所の名称及び所在地その他日本行政書士会連合会の会則で定める事項の登録を受けなければならない。

詳細は、日本行政書士会連合会は「事務所の名称に関する指針」に定められています。

事務所の名称中に行政書士の文言を明示

事務所名には「行政書士」の文言を入れる必要があります。「行政書士」の入れる位置に特に決まりはありません。前後でも名称の真ん中でも可能です。

これは、相談者や依頼者が行政書士事務所とわかるようにするためです。司法書士事務所や法律事務所などとの誤解を防ぎます。

「特定行政書士」は個人の行政書士に対する一身専属性の呼称であるため、個人会員が「特定行政書
士」を事務所の名称として使用することは可能です。しかし、行政書士法人は「特定行政書士」という文言を使用することができません。

同一名称の使用禁止

同一都道府県内で既に使用されている事務所名は使用できません。また、共同事務所(複数の行政書士が同じ場所で登録している)の場合、同じ事務所名を用いて登録できません。ただし、事務所名に自分の氏名を使用する場合は、同じ事務所名であっても登録可能です。

例えば、鈴木さんが「行政書士鈴木事務所」で登録する場合、同一都道府県内に他に「行政書士鈴木事務所」があっても登録可能です。共同事務所の行政書士が皆鈴木であれば、行政書士鈴木事務所で登録できます。

使えない用語

次のような文言は事務所名に使用できません。(「法務」は使用可能です。)

他の法律で制限されている文言

法律、会社など

他業種と誤認される文言

司法、税務など

公的機関と誤認される名称

公共、公益など

公序良俗に反する文言

テレビの放送禁止用語とされているものが該当してきます。

他社の氏名

他社のと誤認されるおそれがあるため使用不可とされています。

行政書士事務所名の決め方

それでは、事務所名の決め方の方法を見ていきましょう。以下の方法を組み合わせて決めてもいいです。

「事務所」は付けるか

事務所名を「○○事務所」としている行政書士事務所は多くあります。しかし、「事務所」は規程上は入れなくても問題ありません。

「事務所」を入れずに、「オフィス」や「相談室」という文言を使用する事務所もあります。

自分の氏名を入れる

事務所名に自分の氏名を入れるパターンです。名字や名前だけでも可能です。

あなたが誰なのかがわかるので、自分自身をブランディングしていくのにいいと思います。

  • 行政書士○○事務所
  • ○○○○行政書士事務所
  • 行政書士事務所○○○○
  • ○○行政書士○○○○

なお、他人の氏名を使用することは、他の事務所と混同する可能性があり、使用が制限されています。

取り扱い業務を入れる

相続、許認可、国際など、取扱業務のイメージが連想される文言を入れるパターンです。初めて事務所にコンタクトを取る人が、どのような業務を扱っている事務所かがすぐにイメージできるのがメリットです。

デメリットとして、事務所名以外の業務の問い合わせが減る可能性があることです。例えば、「相続」と記載のある事務所に、建設業許可申請の問い合わせはしづらいですよね。

ある程度専門性が決まっていたり、やりたいことが決まっていれば、取扱業務を事務所名に入れるのはいいと思います。

  • 行政書士相続○○相談室
  • 国際行政書士○○事務所
  • 行政書士○○許認可センター

地域名を入れる

地域に特化して業務をやりたい方にオススメです。

都道府県、市区町村、町単位なのか、どの範囲で地域名を付けるかは、地域の人口やアクセスの良さから絞るといいと思います。また、銀座や六本木等、地域名にブランド力があると、事務所のイメージもあがります。

  • 銀座行政書士事務所
  • 横浜○○行政書士事務所

理念を入れる

行政書士事務所の理念を入れるパターンです。例えば、幸せになってほしいから「ハッピー」、絆を大切にするから「きずな」などが考えられます。

行政書士がどういった思いで事業を行っているかが相手に伝わります。ただし、専門的すぎた用語や長すぎる用語は、依頼者さんに覚えてもらうことが難しいので注意しましょう。

  • ハッピー行政書士事務所
  • 行政書士きずな事務所

インターネットで検察されるワードを入れる

インターネット検索で上位表示されるようワードを入れるパターンです。

Googleのキーワードプランナーなどのツールを使用し検索ワードを調査する必要があります。

私はこの方法はオススメできません。なぜかというと、WEBサイトはサイト名で作ってしまえばいいからです。

例えば、このサイトは「行政書士カレッジ」ですが、運営は「合同会社法テック」でし。もちろん、運営を行政書士事務所が行っていても、法律上問題ありません。

こうすれば、複数業務専門のWEBサイトを所有することができます。

電話での名乗りやすさ

事務所名に思いが入れすぎると、事務所名が長くなる傾向がございます。その際、電話に出たときに事務所名が長い大変です。事務所名を名乗っている途中で噛んでしまう可能性もあります。

この対策法として、事務所名の最後に「○○事務所」としておくことです。こうすれば、その前がどんなに長くても「○○事務所です。」と答えられます。

例えば、「東京外国人ビザ経営法務鈴木事務所」の場合、「はい、鈴木事務所です。」と電話に出れます。

補助者や事務員の電話対応の難易度も軽減されます。

他の行政書士事務所名称の調べ方

他の行政書士さんはどのような事務所名で登録しているかは、インターネット検索や日本行政書士会連合会の名簿にて確認することができます。

日本行政書士会連合会の名簿(行政書士会員検索)であれば、主な取り扱い業務にチャックをして検索することができるため、同様の取り扱い業務を行う事務所名を見ることができます。

おわりに

いかがでしたでしょうか?

事務所名は、あなたの事務所のイメージを作る大切な要素です。事務所名は、申請書、名刺、ホームページ、領収書など色々な箇所で使用されます。

この記事が事務所名を決める際にお役立てれば何よりです。気に入った事務所名が作れるよう応援しています。

日本行政書士会連合会が策定した「事務所の名称に関する指針」を参考までに記載いたします。

事務所の名称に関する指針

平成28121日改訂

1.「行政書士」の明示

事務所の名称中には、「行政書士」の文言を明示すること。

日本行政書士会連合会会則第60条の2により「単位会の会員は、その事務所について、他の法律において使用を制限されている名称又は行政書士の事務所であることについて誤認混同を生じるおそれがあるものその他行政書士の品位を害する名称を使用してはならない」こととされているので、「行政書士」の事務所であることを明確にしなければならない。

2.同一名称の使用禁止

単位会の会員(個人会員及び法人会員)は、単位会の区域内で既に行政書士名簿に登録されている個人会員の事務所の名称又は行政書士法人名簿に登載されている法人会員の事務所の名称と同一の名称を使用しないこと。

また、共同事務所についても、複数の行政書士が同一の名称を使用することは受任した業務の責任の所在が不明確となるおそれがあり、利用者に不利益をもたらす可能性があることから、同一名称を使用しないこと。
※同一名称を複数の行政書士で使用する場合には法人化すること。

ただし、次に掲げる場合についてはこの限りではない。

(1) 個人開業行政書士が、その氏、名又は氏名を使用する場合
(2) 行政書士法人が、その社員の氏、名又は氏名を用いる場合
(3) 個人開業行政書士が、現に行政書士名簿に登録されている事務所の名称を当該会員が社員となって設立する行政書士法人の名称として使用する場合

3.制限事項

(1) 他の法律において使用を制限されている名称
① 「法律」との文言が含まれる名称は不可とする。

(2) 他の資格と誤認されるおそれのある名称
① 他業種と誤認されるおそれのある文言が含まれる名称は不可とする。
例:「司法」「税務」等
② 行政書士個人として届け出るため、兼業者の場合であっても他資格の名称が含まれるものは不可とする。
例:「司法書士」「土地家屋調査士」「FP」(ファイナンシャルプランナーの略)等

(3) 国又は地方公共団体の機関と誤認されるおそれのある名称
① 行政の主体と誤認されるおそれのある文言が含まれる名称は不可とする。
例:「公共」「公益」等

(4) 行政書士の品位を害する名称
公序良俗に反するものは不可とする。

(5) 他者の氏、名又は氏名を使用しないこと。
他者の事務所であるとの誤認混同を生じるおそれがあるため、不可とする。

(6) 「特定行政書士」は個人の行政書士に対する一身専属性の呼称であるため、個人会員が「特定行政書士」を事務所の名称として使用することは可能だが、行政書士法人の場合、事務所の名称としてはなじまないため使用することは不可とする。

4.行政書士法人の従たる事務所の名称

従たる事務所の名称については、主たる事務所の名称と区別するため、従たる事務所であることを示す表示(例:○○行政書士法人 ○○支店、行政書士法人○○ ○○事務所等)により行う。

5.名称使用の責任

行政書士名簿登録後又は行政書士法人登記後の「事務所の名称」に関する問題は、自己責任とする。

名称によっては、商標権等の制限を受ける場合もあり得るので、自己の責任において十分に留意すること。

20160121事務所の名称に関する指針_日本行政書士会連合会.pdf

鈴木 篤

特定行政書士。合同会社法テック代表社員の鈴木です。実務のスペシャリストの行政書士を育てることが日本社会の発展に貢献するとの思いから行政書士カレッジを運営しています。

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