行政書士の実務経験が無い方が開業する場合、行政書士事務所がどのようなことをしているかわからないため、どういった複合機を選べばよいか悩むと思います。
そこで、行政書士の鈴木篤先生に個人開業をする行政書士事務所に合った複合機について聞いてみました。
鈴木先生愛用のブラザーの白黒レーザープリンターMFCシリーズ。写真はMFC-L2740DW(2023年8月現在、MFC-L2750DWを使用中)
レーザーとインクジェット
まずは、レーザーとインクジェットのどちらが行政書士事務所向きか説明します。
行政書士事務所の場合、業務で作成するほとんどの書類はA4白黒で作成されます。A3サイズやカラー印刷はあったら便利くらいの機能です。
そのため、A4白黒印刷に対応していれば、最初は十分です。もし、A3印刷やカラー印刷が必要になった場合は、コンビニのコピー機で印刷しましょう。
話を戻して、白黒のレーザーとインクジェットのどちらが良いかというと、断然白黒レーザーとなります。
理由は、1枚当たりの印刷コストが安い、印刷時の文字がキレイ、印刷スピードが速いからです。
もし、リース機のような大型のカラー複合機を導入できるのであれば、インクジェットもいいと思います。しかし、個人開業で先生1人、補助者1人の規模であれば、リース複合機は不要だと思います。そのコストをかけるのであれば、他の費用に使った方がいいと思います。
インクジェットの最大の欠点は、印刷をしていないときでもインクを消費することです。そのため、電源が立ち上がるたびにインクを消費します。もし、インクジェットプリンターで1枚当たりのコストが安いと売りだしている機種がある場合、使用していないときや電源の立ち上がり時のインクの減りを確認すべきです。
一方、レーザープリンターは、電源が立ち上がってもインクは減りません。また、立ち上がりがインクジェットより早いです。
結論として、個人開業で小規模な行政書士事務所の場合、A4白黒レーザープリンターがオススメです。
ADF機能とスキャン機能が大切
行政書士業務にADF機能は必須と考えてください。ADFとは、自動原稿送り装置といい、紙をセットして自動でスキャンしてくれる機能です。
行政書士は、申請書類やお客様へお渡しした書類などを、スキャンしてPDFデータにて保管します。そのため、実務上スキャン作業をいかに効率的に行うかが課題となります。
理想を言えば、ADF機能付きで両面スキャンができるといいですが、両面スキャンは値段が高くなります。予算が無いという場合は、片面ADFがあればいいと思います。
なお、書籍の自炊ができるスキャンスナップなどのスキャン専用機もあります。3万円以上する機種がほとんどですが、複合機ADFスキャンよりもスキャンスピードは圧倒的に早いです。しかも、両面スキャンもできます。書類のスキャン以外に、書籍を電子化するのにも使えます。書籍のスキャンの背表紙を切るのに、裁断機が無い場合はカッターで切ることもできます。
結論、ADF機能付きの複合機を選ぶ。両面スキャンはあるといいが、予算が厳しい人は片面スキャンでもよい。
電話とFAXはどうする?
電話は固定電話機があれば、複合機に電話がついていない機種で問題ないです。
電話付き複合機は、私はオススメしません。複合機は事務所のスペースを取ります。事務所のレイアウトを考えた場合、電話付き複合機は大きいので置き場所が限定されます。もし、電話がかかってきたとき、受話器を取りに行くのはかなり面倒です。こういった小さいことの積み重ねが、仕事の質にも影響してきます。
それと、行政書士はお客様と電話で話しながら、キャビネットやロッカー等へ書類を取りにいくことがあります。固定電話の場合は、コードレス電話が便利です。近年は携帯電話に連絡がくるので、だいぶ減りましたが。。。
FAXについてはあった方が便利です。近年は、ネットFAXサービスが普及し、FAX機は持たないという方もいると思います。ただ、これから複合機を買うのであれば数千円プラスしてFAX機能付きを購入していいと思います。
行政書士会では、研修会の申込みなどで、FAXの連絡がいまだに残っています(2022年1月現在)。単位会(都道府県毎の行政書士会)によっては、メールではなくFAXがメインというところもあると思います。
また、実務上もFAXは便利です。といいますのも、初めて電話をもらった人から、資料をデータでいただきたい時があります。データをメールで受け取るには、メールアドレスを聞かなければなりません。
日本人はアルファベットの発音が苦手です。アルファベットを聞くのも苦手です。Dを「デー」といったりしますよね。逆に、外国人の方だと、ネイティブ発音の時があり、これも聞き取れない可能性があります。日本人は子音を聞き取るののも話すのも苦手です。
こんな時、FAXであれば数字で伝えられるため、ほぼ間違いが起こりません。FAX番号を聞いた後、メールアドレスが記載された名刺をFAXし、返信をもらえばいいのです。このような方法は実務でよく使います。
携帯電話のSMS宛にメールアドレスを記載して送ってもらう方法もありますが、相手がSMS対応の携帯電話を持っていない場合は対応が難しいです。
結論、固定電話はコードレス電話機のものを別に用意する。FAX機能は付いていた方が便利です。
Wifi機能があると便利
事務所のインターネット環境に無線LANがあれば、複合機のWiFiは付けたい機能です。
行政書士は、ノートパソコンで業務を行うことが多いです。そのため、WiFiがついた複合機であれば、無線が届けば複合機に接続できます。
お客様と応接スペースで打合せをしながらノートパソコンを開いて対応し、その場で印刷なんてこともできます。
結論、ノートパソコンで無線LAN環境がある人は、WiFi機能のついた複合機を選ぶ。
メーカーはどこがいい?
複合機メーカーは、ブラザー、キャノン、エプソン、富士通などがございます。どれも日本のメーカーで、それぞれ良さがあります。
私は、白黒レーザー複合機(コピー、ADFスキャン、FAX、WiFi付)はブラザー。カラーコピー機はキャノン。スキャンはエプソン。モバイルスキャナーは富士通を使用してます。
何と4つのメーカーを使っています!なお、富士通のスキャンスナップはハンディタイプを使用しており、購入した理由は、名刺管理のエイトに対応しているからです。最近は使っていないです。
もし、1台だけ購入するなら、迷わずブラザーレーザー複合機を購入します。
結論、日本のメーカーであればどこでもいい。鈴木はブラザーのレーザープリンターを導入している。
最初はコンビニを利用するのもあり
開業したばかりのころは、どの業務を取り扱うか決まっていなかったりします。その場合は、自分に合った複合機がわからないため、複合機を選ぶのに悩むと思います。
そこで、最初はコンビニのコピー機を利用するというのも有りだと思います。コンビニのコピー機は、スキャンやFAXもでき大変便利です。
私自身、写真をキレイにプリントしたいときは、セブンイレブンの複合機で、写真プリントL版30円で行っています。
最初の1台にオススメの複合機は?
ブラザーの白黒レーザー複合機(コピー、ADFスキャン、FAX、WiFi付)を買っておけば、まず間違いないです。値段も3万円しないくらいです。
私はブラザーのMFC-L2740DWというものを使っています。(現在はMFC-L2750DW を使用しています。)その前は、ブラザーの同じレベルの機種で、FAX無しを使っていたのですが、FAX付きに変えました。
ブラザーの白黒レーザー複合機シリーズは、開業当初からの付き合いで、値段を考えると満足のいく機種です。
あえて不満を言えば、両面スキャンができない、スキャンスピードが遅い(自炊スキャン専用機に比べて)ことです。ただし、値段のお手ごろさを考えると文句は言えないと思います。
大型の複合機を導入した際でも、このような小さい複合機があると便利です。セミナーレジュメを大型複合機で大量印刷をしているとき、他の事務員はサブ複合機で印刷するということができます。また、どちらかが壊れても印刷はストップしないです。コピーがなくなると、申請に間に合わない可能性もでてくるため、複合機は複数台もっておくと便利です。
複合機は長年使用するものなので、初期費用とランニングコストを考え導入をしましょう。