行政書士試験に合格してから、行政書士事務所を開業するまでの流れについて説明します。
情報収集
まずは、行政書士登録に必要な情報を集めます。
登録予定の事務所住所の都道府県行政書士会(行政書士会)のホームページを確認します。自宅住所ではなく事務所住所ということに注意してください。もし、自宅兼事務所であれば、自宅住所となります。
行政書士会のホームページに、行政書士登録手続の案内が掲載されています。必要書類や登録料なども掲載されています。
次に、開業資金にいくらかかるかを算出します。行政書士事務所で最低限かかる費用は、行政書士登録費用です。行政書士登録費用は、行政書士会により異なります。目安としては30万円となります。
「行政書士事務所の開業資金-自宅事務所とレンタルオフィスで比較!」にて、自宅事務所とレンタルオフィスの開業資金を比較してみましたので、興味がある方は読んでみてください。
行政書士業務未経験者は、行政書士が何ができるかがわからないのが通常です。(私もそうでした。)
行政書士が行う仕事を知るには、行政書士会のホームページを見たり、行政書士事務所のホームページをみると参考になります。もっと詳しく知りたい方は「行政書士法」を学ぶことをおススメします。行政書士法には、行政書士業務が書かれています。
「行政書士ができること」、「開業準備中・新人行政書士のための「行政書士法」-業務編」にて、行政書士の独占業務の解説をしています。専門用語が多く、読むのが大変ですが、とても大切なことなのでチェックしてみてください。
取扱業務の決め方については「行政書士開業当初の取扱業務の決め方!ポイントは広い業務範囲の文言」の記事にて説明しています。
営業方法について知っておくと、事務所所在地や事務所名称を決める際に役立ちます。お客さんは誰なのか。事務所を開業する地域にお客さんはいるのか。インターネットで依頼がくるのか。などを考えましょう。
事務所探し
情報収集をした後は、事務所探しをします。もちろん、自宅事務所でも開業が可能です。定期的な仕事の受注が見込めない場合は、自宅事務所での開業をすると、事務所用の家賃代がかからないので、資金繰り的に安心です。ただし、行政書士の事務所住所は、日本行政書士会連合会のホームページで公表されてしまいます。自宅住所を公表されるのが嫌な人は、自宅以外の事務所をさがしましょう。
※日本行政書士会連合会とは、47都道府県行政書士会で結成された連合会のことです。
また、自宅事務所には、所有者(オーナー)さんから、行政書士事務所として利用していいよという「使用承諾」を得る必要があります。公共住宅の場合は、基本的に使用承諾を得られないと考えてください。
自宅事務所以外では、レンタルオフィス、賃貸物件があります。住所だけ借りるバーチャルオフィスは登録が難しいです。詳細は、自身が所属予定の行政書士会に確認しましょう。
登録申請
事務所が決まった後は、いよいよ行政書士登録申請になります。
都道府県行政書士会のホームページの行政書士登録の案内を確認し、必要書類を集めます。行政書士登録申請の必要書類と記載例の記事です。
行政書士事務所名は、行政書士事務所名の決め方!事務所名に使ってはいけない用語とはを参考にしてください。
行政書士は、仕事で使うハンコ「行政書士職印」を作る必要があります。行政書士職印は、各行政書士会により、サイズの指定があるので、発注前に必ず確認しましょう。詳細は、行政書士の職印の書体、サイズ、材質についてをご覧ください。
行政書士会によっては、事務所の調査が行われます。埼玉県行政書士会の場合、事務所住所を管轄する支部長が調査をします。なお、東京都行政書士会は、直接の訪問は無く、原則、事務所を撮影した写真にて審査がされます。詳しくは、行政書士会の事務所調査についてをご覧ください。
登録
行政書士登録が完了すると、行政書士会から登録の案内が届きます。案内で指定された日に行政書士会入会式が開催されますので出席しましょう。日程が合わない場合は、行政書士会に連絡してください。
入会式では、行政書士会の徽章(バッジ)や会員証が交付されます。案内書やパンフレットなどたくさんの書類が渡されますので、たくさんの書類を持ち帰れるようにしておきましょう。
行政書士登録後は、税務署等へ個人事業主の開業届等の手続きを行います。参考の記事は以下となります。
開業後の届出書類ー税金、労働保険、社会保険の手続一覧
税務署へ行政書士事務所の開業届を提出
行政書士事務所の青色申告承認申請は開業届と一緒に提出
事務所用の銀行口座を準備しましょう。個人登録の場合、個人で使用していた口座でも問題ありませんが、事務所名が入った口座は、信用につながります。行政書士事務所名で銀行口座を作る方法を参考にしてください。
業務を行うにあたり、実務書式を入手します。申請書類は、役所のホームページに掲載されているため、ホームページのURLをブックマークしておきます。電子申請化が進められているため、ブラウザを使いやすく設定しておくことは実務処理上重要です。また、ヒアリングシートや要件確認シート等は、WordやExcel等で作っておくと、相談時の対応がスムーズに行きます。
開業
いよいよ開業段階となります。
事務所を開業したことを知ってもらうため、開業挨拶の送付、ホームページの公開、名刺の作成などを行います。
行政書士事務所の開業挨拶の文例を紹介!挨拶状の書き方のポイントと送る相手について
行政書士の名刺作成方法-名刺のサンプル、おススメの名刺印刷サイト
行政書士のホームページをペライチを利用して無料で自作する方法
事務所の複合機、パソコンなども準備します。
行政書士が実務で使用するパソコンの選び方!おすすめのパソコンは?
行政書士事務所開業時にオススメの複合機について
特定行政書士を目指す場合は、特定行政書士の研修に申込み、考査試験に合格する必要があります。合格率は6~7割となっています。
特定行政書士とは?研修内容、費用、登録方法を紹介!
外国人の在留資格の申請をしたい場合は、申請取次研修を受講し、申請取次行政書士になる必要があります。なお、書類作成のみであれば、申請取次行政書士でなくても業務を行えます。「在留資格」手続を扱う「届出済証明書(ピンクカード)」取得までの道のり