開業準備中の行政書士の名刺について解説!行政書士有資格者はアリ?

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開業準備中の行政書士の名刺について解説!行政書士有資格者はアリ?

これから行政書士登録をしようとする方が、開業準備中の場合、名刺には何を記載すればよいでしょうか?

行政書士登録するまでには、名刺に記載してはいけないことがあります。

行政書士事務所を開業準備中の方の名刺について解説します。

行政書士登録前に行政書士を名乗るのは違法

名刺は自分を知ってもらうために便利なツールです。行政書士で名刺を持っていない先生はいないと言っていいでしょう。

今回のテーマですが、行政書士事務所開業準備中の方の名刺についてです。

開業準備中の方と名刺を交換すると「あー。この記載ダメなんだよねー。」と思うことがあります。

ダメな例

  • (開業準備中) 行政書士 ●●●●
  • (〇月登録予定)行政書士 ●●●●

行政書士開業前ダメな例の名刺

上記のような記載は違法となる可能性が高いです。違法と判断された場合100万円以下の罰金となります。

行政書士法
第19条の2(名称の使用制限)
行政書士でない者は、行政書士又はこれと紛らわしい名称を用いてはならない。
第22条の4(罰則)
第19条の2の規定に違反した者は、100万円以下の罰金に処する。

行政書士と名乗っていい人

行政書士と名乗っていい人は、行政書士となる資格を有する人日本行政書士会連合会の名簿に登録された人となります。

行政書士法第6条(登録)
行政書士となる資格を有する者が、行政書士となるには、行政書士名簿に、住所、氏名、生年月日、事務所の名称及び所在地その他日本行政書士会連合会の会則で定める事項の登録を受けなければならない。

この要件は、行政書士法2条、2条の2に規定されており、行政書士試験合格者や他資格取得者等であり、欠格事由に該当しなければ、行政書士となる資格を有する者に該当すると言えます。開業準備中の方は、「行政書士となる資格を有する者」に該当するのでしょうか?

①試験合格、資格、経験を有する(第2条)

  • 行政書士試験合格
  • 弁護士、弁理士、公認会計士、税理士
  • 公務員行政事務担当期間20年以上(高卒以上は17年以上)

②欠格事由に該当しない(第2条の2)

  1. 未成年者
  2. 破産手続開始の決定を受けて復権を得ない者
  3. 禁錮以上の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなつてから3年を経過しない者
  4. 公務員(行政執行法人又は特定地方独立行政法人の役員又は職員を含む。)で懲戒免職の処分を受け、当該処分の日から3年を経過しない者
  5. 第6条の5第1項の規定により登録の取消しの処分を受け、当該処分の日から3年を経過しない者
  6. 第14条の規定により業務の禁止の処分を受け、当該処分の日から3年を経過しない者
  7. 懲戒処分により、弁護士会から除名され、公認会計士の登録の抹消の処分を受け、弁理士、税理士、司法書士若しくは土地家屋調査士の業務を禁止され、又は社会保険労務士の失格処分を受けた者で、これらの処分を受けた日から3年を経過しないもの

開業前の名乗り方

もう一つの19条の2を確認すると「これ(行政書士)と紛らわしい名称」とあります。開業準備中の方は特に注意しなければなりません

おススメしない名乗り方

紛らわしい名称とはなんでしょうか?例えば、以下のような名称は紛らわしいと判断される可能性が高くオススメできません。

  • 行政士
  • 行政事務士
  • 行政法務士
  • 行政代書人

これは明らかに行政書士を意識して名称を作っています。ちなみに、韓国の行政手続事務を行う資格者は「行政士」というそうです。実際に韓国人の行政士さんと名刺交換して知りました!

おススメの名乗り方

以下の名乗り方は事実に基づいていおり、誤解を招かないということからオススメです。

  • 令和〇年度行政書士試験合格
  • 令和〇年度行政書士試験合格(開業準備中)
  • 令和〇年度行政書士試験合格(登録準備中)

行政書士開業準備中名刺

行政書士試験に合格したことは事実でしょうから、全く問題ありません。そこに開業準備中や登録準備中の文言を加えます。

開業準備中と登録準備中のどちらを書くかは、あなたが今後どうしたいかで分けて書きましょう。

  • 「開業準備中」は、独立開業する方におススメ!
  • 「登録準備中」は、行政書士事務所で働きたい方におススメ!

「開業準備中」であれば、独立して事務所を設けるのだなとイメージされます。どの辺りで事務所を探しているか記載しておくといいと思います。

「登録準備中」であれば、行政書士業務をやりたいのかなと思われ、名刺交換した先輩行政書士が求人を出すなどしていれば、就職に結びつくかもしれません。

※ただし、開業準備や登録準備は、準備をしていないのに記載すると嘘を記載していることになるので注意しましょう。

私が個人事務所の開業準備をしているのなら、どちらも作成し、相手によって使え分けをします。先輩行政書士には、登録準備中の名刺を交換し、他士業の先生や業者さんは開業準備中の名刺を交換します。

営業チックだなと思われますが、相手も同じように使い分けて名刺交換しています。気にする必要はありません。

「行政書士有資格者」と名乗るのは注意

注意したいのは「行政書士有資格者」と名乗ることです。

行政書士試験合格者の名刺でよく見かけます。この名乗り方は、19条の2「これ(行政書士)と紛らわしい名称」に該当する可能性があります。

それは、名刺交換した相手が「行政書士有資格者」とみて「行政書士」と思われる可能性が高いからです。

あなたや私のように、行政書士のことを日々考えている人なら、行政書士なのか判断できるでしょう。しかし一般の人は、行政書士という名前すら初めて聞く人もいるくらいです。一瞬でその判断ができるでしょうか?

誤解を招く可能性があり、オススメできません。

また、行政書士となる資格を有するかの判断で、欠格事由に該当しないことがありました(行政書士法第2条の2)。ほとんどの方は該当しないと思います。

しかし、注意したいのは欠格事由1号です。未成年者と記載があるので、未成年者が行政書士試験に合格していても「未成年者は行政書士となる資格を有しない」ということです。

また、公務員で行政事務経験20年以上(高卒以上17年以上)で行政書士登録をする方は、経験が認められないと2条を満たさないため注意しましょう。通常、行政事務歴は、行政書士会の資格事前審査を経ないと認められません。資格事前審査で認められた初めて2条を満たすことになります。行政事務経験で申請を考えている方は、自身で有資格者の判断すべきではありません。

おわりに

行政書士開業準備の方の名刺について、行政書士法の条文を根拠に解説しました。

名刺に記載できることのヒントになりましたでしょうか?

名刺交換は、相手との付き合いが始まる最初の一歩です。いつかあなたと名刺交換できることを楽しみにしています。

鈴木 篤

特定行政書士。合同会社法テック代表社員の鈴木です。実務のスペシャリストの行政書士を育てることが日本社会の発展に貢献するとの思いから行政書士カレッジを運営しています。

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