地方で活躍する行政書士登場「遺言・相続」業務の実情

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地方で活躍する行政書士登場「遺言・相続」業務の実情

行政書士事務所を開業するにあたり、地方だからやっていけるか不安だというご質問をいただきます。

今回は、人口約3万5000人の地方市でご活躍する、行政書士の新井勇輝(ゆうき)先生にお話を伺いました。

【行政書士 地方で相続業務①】行政書士が関わる相続の仕事内容「相続の仕事は減っている?」1/3 新井勇樹×菖蒲悠太【行政書士カレッジ】

解説者
行政書士 新井有輝 先生
あらい行政書士事務所 代表
伊藤塾2022年度行政書士実務講座講師「実践マスター 遺言・相続業務論」担当

1.地方の相続業務の実態! 成功の秘訣!!

若手で、相続業務を得意とされている、千葉県行政書士会所属の新井勇輝先生に地方での相続業務の実態と、成功の秘訣についてお話を伺います。

新井先生は、千葉県匝瑳(そうさ)市に事務所を構え、遺言相続業務を中心に事務所運営をされています。

2.行政書士が関わる相続の仕事内容「相続の仕事は減っている?」

2-1 相続業務の将来性と可能性

遺言相続については、当面需要が無くなることは想定できない業務だと思います。
相続は、昔でしたら家督相続があったと思いますが、今は、個々の権利が尊重され内容が、細かく複雑になっているという印象ですね。
相続業務に限らず、どの業務も手続きが複雑だったり、役所からパンフレットやリーフレットが出ていても、一般の方がご覧になっても理解が難しいと思います。
単純に時間がなかったり、読んでも法律用語が入っていたり、手続きが複雑なため、素人の方だけでは、解決することが難しく専門家に相談、依頼してみようという機会が増えてくると個人的には思っています。

2-2 実際に携わっている相続業務

生前対策の遺言書作成と相続財産の相続手続の2つが、行政書士が携わる機会が多いと思います。

2-3 法改正や新制度などの業務への影響

2019年頃から法改正や新しい制度が出来たり、大きな変化がありました。
しかし、コロナの関係で、マスコミ等が新しい制度の報道があまりされてこなかったですね。
相続手続きも簡素化されてやりやすくなった部分もあると思いますが、一般市民の方に   それが反映されたかというと疑問に思います。
実際に相続手続きを行う中で、ご遺族の方の負担は、あまり変わらないです。
電子化された部分もありますが、手続きの内容上難しいところがあります。
複合的なことを考慮し、相続手続きを行うため、内容はどんどん複雑化され、手続きが簡素化されているという実感はないと思います。
私たち行政書士が、取りまとめをし、実際に手続きをお手伝いするというところは、ずっと変わらないかなと思います。

3.「地方でもやっていける?」営業方法と地方で開業するコツ

3-1 地方での業務開拓 千葉県匝瑳市(そうさし)での実例

地方での業務開拓ということで、事務所のある匝瑳市(そうさし)を例にとってご説明します。
千葉県匝瑳市(そうさし)は、人口3万5,000人と県内でも人口の少ない地域です。
隣接を含めてもその中だけで営業していくのは難しいと考え、千葉県内を商圏とすることと、自分がどれだけ動き回れるかというところを、最初に考えました。
最初に使ったツール(集客方法)は、ホームページです。これなら場所に捉われず、遠いところからでもお問い合わせをいただけます。お話を伺い、そのままご依頼いただける件数は決して少なくないです。地方の人口が少ない地域の方は、最初にホームページを開設した方が良いと思います。
また、私はNPO法人の理事を行っています。その関係で、千葉市などの遠いところからもご依頼がありますし、葬儀社さんからお仕事をいただいたりもあります。
地域に関係なく、車で1時間くらいのところからお仕事をいただくケースは多いです。

3-2 地方は車の移動が必須

私の事務所は千葉県でも、東側の銚子エリアですが、北は流山市、南は君津市など千葉県内を車で活動しています。車がないと、地方では仕事はできないと思っています。
私の車の年間走行距離は、30,000Km位です。往復100kmの移動は普通です。
地方では、相続もそうですけど行政書士としてやっていこうと思ったら、車が無いと厳しいですね。
お客様の中には、事務所の雰囲気を見たいとのことで、来所される方もいらっしゃいますが、数は少ないです。
ほとんどのケースが、こちらからご訪問する前提でお話をします。直接伺った方が、資料の収集も早いですし、直接聞く事が出来るので仕事がしやすいですね。
お客様にわざわざ着替えて出かけていただき、移動で疲れさせてしまうよりも、自ら伺った方がお客様としても安心できますし、業務が遅滞なく進むことが多いですね。

3-3 地方で開業される方にアドバイス

地方で開業したい方から、不安だというご質問をいただくことが多いです。
私自身も、開業する際は地方で大丈夫かなと思ったことがありました。
ポイントとしては、まずは、どのように仕事を取るか、どの層を狙うのかを考え、ホームページを活用するとか、自分が移動するなどの方法を考えます。
マッチングに成功すれば、地方だからと言って、お客様がいなくて困ると言うことはないと思います。
逆に地方の方が、行政書士の人数が少ないので、頼られることも多いと思います。
地方だから、都会だからと場所について有利不利というのは実はそんなにないのかなと思っています。
まずは、自分の思うように進んでいただいた方が、いいと思います。

4.相続デジタル化は進んでいる?相続業務に向いている人と向いていない人

4-1 デジタル化!!相続業務への影響は?

許認可業務や外国人の在留資格関連の業務、補助金の申請など電子申請化の流れが来ています。国、地方自治体でも電子申請化という流れです。
一方、相続業務において、オンラインでの申請はあまり増えていません。
銀行手続きでは、一部電子化が始まっていますが、対面や郵送が多いです。
相続業務の場合、対面と郵送がメインとなります。対銀行の場合は、残高証明を取るにしても基本は郵送です。件数が多いので、オンライン申請が出来るようになれば、事務所内の業務の効率が上がると思うのですが、実施されるのはだいぶ先なのかなと思います。
履歴事項全部証明書などは、オンライン申請できますが、相続関連手続きになると電子化の流れはまだまだなのかなと思います。

4-2 デジタル化へのアドバイス

対役所への電子化というのではなく、事務所の所内の話になりますが、事務所内の職員と連絡を取ったり、税理士さんや司法書士さんとのやり取りはすごく多いと思います。電話や、書類で全部やり取りをするとすごく時間がかかりますし、お互いに苦労すると思います。
そのため、そういうところを、オンライン会議のツールなどを導入し活用するのは是非行っていただければと思います。コロナ禍の影響もあってか、便利なツールが色々出ています。
こういったツールをうまく活用することで、業務の効率化を図ることは絶対に必要だと思います。

4-3 相続業務に向いている人

相続業務にかかわらず、行政書士業務全般において必要と思われますが、依頼者の方に寄り添う姿勢は、すごく必要だと思います。
プライベートなご相談やお悩みが多いので、親身に寄り添う姿勢は絶対に持っておかなければいけません。逆に、冷たい対応をとる人は、遺言相続業務には向いていないと思います。親族がお亡くなりになったりとか、身内の方に不幸があったりしている中での業務なので、相手方に寄り添う姿勢は、非常に大事です。

5.新井先生からのエール

相続業務は、試験にも出てくるのでまったく知らないという方はいないと思います。
実務的な側面の強い業務ですが、支部の先輩や周りの方の助けを借りながらでも実際の業務に挑戦してみてください。お客様に寄り添って、一緒に解決してください。
実際に亡くなった方から、財産を引き継いでいくというところを、手助けするというのは、本当にやりがいもありますし、行政書士になり業務に携えて良かったなと感じるところが多いです。皆さんも最初是非取り組んでいただければと思います。

行政書士カレッジ 編集部

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