行政書士の実務「入管業務」:日本国籍からカンボジア国籍に変更した猫ひろし氏の在留資格

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行政書士の実務「入管業務」:日本国籍からカンボジア国籍に変更した猫ひろし氏の在留資格

海辺をランニングする男性

外国の方は、原則として在留資格という”許認可(ライセンス)”を取得することで日本での在留・活動することを許可されます。つまり外国人(あまり好きな言い方ではないのですが、法律用語なので)には、日本で在留・活動する”権利”を元来有しているわけではなく、特別に付与されるのです。

在留資格の種類は多くありますが、日本国籍からカンボジア国籍に変更した猫ひろしさんの在留資格を検討してみたいと思います。

猫ひろしと「日本人の配偶者等」

マラソンランナーの猫ひろしさんは、2011年よりカンボジア国籍を取得しました。出身は日本でも、国籍は変更することができます。つまり、猫ひろしさんは法律上”外国人”なのです。練習は、日本国内を拠点としているそうですが、果たして何の在留資格によって日本滞在を”許されている”のでしょうか?エンターテイナーなので「興行」の在留資格?いや、マラソンランナーは、確かに広い意味では「エンターテイナー」かもしれないけれど、スポーツ選手なのだから別の在留資格?オリンピック選手だから、指導者として、先の料理人・調理師と同じで「技能」の在留資格の該当性があるかもしれません。

ネットで調べてみますと、猫ひろしさんは「日本人の配偶者等」の在留資格を持っていらっしゃるとのこと。Wikipediaには、配偶者あり、となっていますから、日本人の奥様がいらっしゃるのでしょう。

何年に取得されたのかは不明ですが、永住許可の要件をクリアすれば、日本で永住できるはずです。一つ目は、居住要件:10年の原則です。原則があるということは、例外があり、「日本人,永住者及び特別永住者の配偶者の場合,実体を伴った婚姻生活が3年以上継続し,かつ,引き続き1年以上本邦に在留していること。その実子等の場合は1年以上本邦に継続して在留していること」で、居住要件を満たします。あとは、資産要件などを満たせば、許可も望めそうです。

まとめ

自動車を運転している人がライセンスを持っているように、日本で生活している外国人の方々は在留資格というライセンスを持っています。少し身近に感じられましたか?

なお、諸外国にも、同じように「在留資格制度」があります。例えば、タレント・YouTuberのオリエンタルラジオの中田敦彦さんは吉本興業とのマネジメント契約を解消してシンガポールに移住しフリーで活動しているとニュースになりました。また、ネット掲示板(2ちゃんねる、現在の5ちゃんねる)創設者のひろゆきさんは、現在フランス在住です。外国に在住している日本人はたくさんいますが、それぞれ何の在留資格を持っているのか気になりませんか?ぜひ調べていただいて「在留資格制度」がいかに身近なものか感じていただければと思います。なお、私たちも、諸外国に旅行する際には「短期滞在」という在留資格を持つことになります。諸外国へ行けば私たちが「外国人」であることを忘れてはなりませんね。

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